尊厳死宣言、ご存知ですか?
「健やかに生きる権利、安らかに死ぬ権利を自分で守る」ための宣言書。
・・・日本尊厳死協会のホーム・ページより。
一般的には、「延命治療を拒否して、自然に死を迎えるための文書」と言われています。
日本尊厳死協会の会員は年々増加し、現在12万人以上の方が会員になっているようです。
「尊厳死宣言」も広く知られてくるようになりましたが、まだまだ法的な整備がされていないこともあり、手続き・効力などに関しては、ご存知ないかたが多いようです。
ちょっと専門的になるかもしれませんが、「尊厳死宣言」に関心のある方は、知っておくと役に立つ知識をいくつか紹介しましょう。
「尊厳死宣言」は書き方が法律で決まっているわけではありません。よって、原則どのように作成しても構いません。
ですが一般的に書かれる記載方法というのがやはりありまして皆様に参考となる例となるものが、日本尊厳死協会の「尊厳死宣言」はホーム・ページで公開されています。
その内容は医学・医療の進歩などによって適宜改訂されています。
http://www.songenshi-kyokai.com/
![]() |
自分で作成した宣言書を公証役場に持参して署名押印し、公証人の認証を受けるという方法。公証されるのは「たしかに本人の意思で作成した」こと。宣言書の内容について公証人が確認するわけではありません。原本は本人が保管。 |
![]() |
作成方法は遺言書など他の公正証書と同じ。原本は公証役場が保管。この場合の「尊厳死宣言(公正証書)」は、「事実実験公正証書」と呼ばれます。簡単に言うと、「尊厳死宣言」をする人(嘱託人)が、宣言したことを、公証人がこれを聴取し、その結果を公正証書にするという形をとります。公証人が聴取し理解した上で、間違いないことを確認して書面にするということです。それゆえ、「尊厳死宣言」の文章もそのような形式をとります。この形の「尊厳死宣言(公正証書)」の例は添付しますので見て下さい。 |
日本尊厳死協会は一定期間「植物状態」になった場合の延命措置の停止を尊厳死宣言に入れることを認めています。
それに対し、公証役場側は、それを否定します。「植物状態になっただけでは、それがある程度継続していても尊厳死を許容することには、現状問題が多く、公正証書化は無理かと思われます。」と、尊厳死の問題と植物人間の問題は別との見解です。
このあたりの細かな話は以下の公証役HPを参照ください。
http://www.koshonin.gr.jp/ji.html
それに対し、日本尊厳死協会は同協会の「尊厳死宣言書」を改定する際に、「植物状態」という言葉の定義を明確にして、「植物状態」の文章を入れようとしています。
その定義は、「回復不能な遷延性意識障害に陥った時」であるとしました。⇒余計にわけがわかりませんね。
結論!「尊厳死宣言(公正証書)」を作成する時は、まず原稿を作成し、公証人とよく事前打ち合わせをすること。(公証人によっても微妙に見解が違います。)
それから、「植物状態」条項を入れる時には、その定義・解釈を出来る限り具体的・科学的にして(出来れば主治医、かかりつけの医者などの助言を得て)誤解が生じないようにしておくこと。
「尊厳死宣言(公正証書)」の場合の必要書類と費用のことを最後に。
公正証書作成手数料(紙代も含めて):\13,000.- ~\14,000.-程度必要書類:実印と印鑑証明書(3か月以内)
参考書:「想いが通じる遺言書と生前三点契約書の作り方」本田桂子著 日本実業出版
![]() |